カラーのたびに頭皮がかぶれていたお客様が、安心して染められらようになった話
S様が最初にご相談にいらしたとき、開口一番おっしゃったのは「カラーをするといつも頭皮がかぶれて、痒くなるんです」ということだった。
これまでいくつかの美容室を回ってきたそうだが、どこへ行っても同じことの繰り返し。
染めた直後はきれいでも、数日すると頭皮が赤くなり、痒みが出てくる。楽しみのはずのカラーが、いつしか我慢を伴うものになっていた。
まず伺ったのは、いつも使っている薬剤や、これまでどんな症状が出ていたかということだった。話を聞く限り、いわゆる一般的なアルカリ性のカラー剤による接触性の刺激が、繰り返し起きているように見受けられた。
美容師をしていると、こういうご相談は決して珍しくない。
カラー剤に含まれる成分が、地肌に合わない方は一定数いる。多くの場合、それでも「カラーを我慢するか、かぶれを我慢するか」の二択で考えられてしまいがちだ。
でも、本当はそこに三つ目の選択肢がある。
それが、薬剤そのものを見直すという方法だ。
S様には、まず弱酸性の薬剤についてお話しした。
一般的なアルカリ性のカラー剤は、髪のキューティクルを強制的に開かせて染料を入れていく分、頭皮への刺激も出やすい。一方、弱酸性の薬剤は人の地肌本来のpHに近い状態を保ちながら施術できるため、刺激を感じにくい方が多い。
とはいえ、いきなり「絶対に大丈夫です」とは言えない。肌の状態には個人差があるので、施術中も頭皮の様子をこまめに確認しながら、慎重に進めることにした。
施術中、S様はずっと不安そうな表情をされていた。これまでの経験から、途中で痒みが出てくるのではないかと身構えていたのだと思う。
施術が終わっても、その日は特に赤みや痒みは出なかった。それでも「これまでも直後は平気だった」という記憶があったようで、本当に安心されたのは、数日経ってからでした。
後日、次のご予約の際に「今回はかぶれなかったです」と報告してくださいました。
それから、S様は継続して通ってくださっている。
「頭皮に優しいという事でお願いしたところ、自分の肌に合っていてよかった」と言っていただけたことは、今でもよく覚えています。
肌に合う合わないは、正直やってみないとわからない部分もある。
それでも、選択肢を一つ増やすことで、諦めていたことを再び楽しめるようになる方がいる。それを目の前で見られるのは、この仕事の大きなやりがいの一つです。
カラーのたびに悩んでいる方がいたら、諦める前に、薬剤そのものを見直すという選択肢もあるということを、知ってもらえたら嬉しいです。
