サロンの施術だけでなく、自宅でのシャンプーの仕方まで伝える理由
施術が終わったあと、必ずお客様に伝えていることがある。それが、自宅でのシャンプーの使い方です。
「シャンプーは原液のまま使わず、ある程度薄めて使ってください」
こう伝えると、ほとんどの方が驚いた顔をする。シャンプーを薄めて使うという発想自体、これまで持ったことがなかったという方が多い。
なぜこの話をするのか。それには理由がある。
サロンでどれだけいい施術をしても、お客様が過ごす時間のほとんどは自宅だ。月に1回の施術より、毎日の自宅でのケアの方が、髪や頭皮への影響は実はずっと大きい。
だからこそ、サロンでの施術だけで満足してもらうのではなく、自宅でのケアまで含めて提案することが、自分の役割だと考えている。
シャンプーを原液のまま使うと、泡立ちはいいけれど、洗浄成分が強く効きすぎてしまう。しっかりすすいだつもりでも、根本に洗浄成分が残りやすく、それが毛穴に蓄積していく原因になる。
一方で、あらかじめ少し水で薄めてから使うと、洗浄力が穏やかになり、泡立ちもコントロールしやすくなる。結果として、頭皮や髪への負担を減らしながら、必要な汚れだけをしっかり落とせるようになる。
ただ、すべてのお客様に同じように伝えているわけではない。
例えば、すでに頭皮の状態が落ち着いていて、特にトラブルのない方には、無理に細かい使い方まで押し付けることはしない。それよりも、今の習慣を大きく変えずに続けてもらう方が、ストレスなく通い続けていただけると思うからです。
一方で、抜け毛やボリューム不足、頭皮のかゆみなど、何かしらの悩みを抱えているお客様には、できるだけ詳しく自宅でのケアの話をするようにしている。サロンでの施術だけでは、根本的な改善にはつながりにくいからだ。
判断の基準は、今の頭皮の状態と、その方が抱えている悩みの深さ。
マイクロスコープで頭皮を見てもらいながら、「ここまで気になっているなら、自宅のケアも一緒に見直した方がいい」と思えば、しっかり時間を取って説明する。
同じタイミングで伝えているのが、リンスやトリートメントのつけ方だ。多くの方が、シャンプーと同じ感覚で、頭皮の近くまでしっかりつけている。髪全体に行き渡らせたい気持ちはよくわかるけれど、実はこれも、毛穴を詰まらせる原因の一つになります。
リンスやトリートメントは、根本につける必要はない。髪の中間から毛先にかけてつけるだけで十分で、むしろその方が、本来ケアしたい部分にしっかり成分を届けられる。根本は皮脂が出やすく、もともと潤いが保たれている部分なので、無理に重ねる必要がないです。
この話も、シャンプーの薄め方と同じように、すべての方に同じ熱量で伝えているわけではない。悩みの深さに応じて、どこまで踏み込んで説明するかを都度判断しています。
これは、シャンプーやリンスの話に限らない。トリートメントのつけ方、ドライヤーの当て方、ブラッシングの仕方。どれも、サロンでの施術と同じくらい、髪や頭皮の状態を左右する要素だと思っています。
「施術さえすればいい」と思われがちな美容師の仕事だけど、本当に大事なのは、その先の暮らしの中でどう過ごしてもらうか。そこまで含めて提案できて、はじめて意味のある施術になると考えています。
