「髪がサラサラになりすぎて、ゴムが滑り落ちる」と笑うようになるまで

mcovo63

約8年前、一人の女性のT様がご来店された。カウンセリングで伺ったお悩みは「髪が傷んで、引っかかりやすい」ということだった。
実際に髪を触らせていただくと、毛先がかなりパサついていて、指を通すとところどころ引っかかる。ご本人も、日々のブラッシングやまとめ髪のたびに、そのゴワつきにストレスを感じていたそうです。

こういう相談を受けたとき、まず確認するのは今までどんな薬剤で施術を受けてきたかということだ。

話を伺うと、これまで通っていた美容室では、一般的なアルカリ性の薬剤でカラーやパーマを繰り返していたとのことでした。
アルカリ性の薬剤は洗浄力や作用が強い分、繰り返し使うことで髪のキューティクルが開いたままになりやすい。

開いた状態が続くと、内部の水分やタンパク質が流れ出てしまい、パサつきや引っかかりの原因になる。
このT様の髪を見た時点で、これはもう一度、髪の内部からしっかりケアし直す必要があると判断しました。

表面的なトリートメントだけでごまかすのではなく、根本的に薬剤との付き合い方を変える提案をさせていただきました。

具体的には、弱酸性の薬剤に切り替えての施術をおすすめした。人の髪や地肌は本来弱酸性で、そこに合わせた薬剤を使うことでキューティクルが開きすぎず、閉じた状態を保ちやすい。繰り返し施術をしても、髪への負担が蓄積しにくいという特徴がある。
正直、初めての方には半信半疑で受け止められることも多い。「弱酸性だからといって、本当に効果があるの?」という反応は珍しくない。

このT様も、最初は同じような表情をされていたのを覚えています。
それでも、1回、2回と施術を重ねるうちに、少しずつ変化が出てきた。パサついていた毛先が落ち着き、指通りが良くなってきたと本人からも声をいただくようになった。

そして今、このT様は8年間ずっと通い続けてくださっている。

ある時、施術中に「髪がサラサラになりすぎて、結んでてもゴムがすべり落ちてしまうんですよ」と笑いながら話してくださったことがあった。
当時のお悩みを思うと、これは笑い話どころか、こちらが一番嬉しい変化でした。

傷んで引っかかっていた髪が、今では逆に滑りすぎて困る、というくらいまで変わったということだから。

髪の状態は、一度のダメージですぐに壊れるわけではないけれど、逆に一度のケアで劇的に治るものでもない。薬剤との相性、そして積み重ねの時間が、髪を大きく変えていく。
長く通ってくださっているお客様の変化を見るたびに、この仕事をしていてよかったと思う。同じような悩みを抱えている方の参考になればうれしいです。

ABOUT ME
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7坪サロンの1人美容師
会社員美容師を約12年経験したのち独立し、7坪の1人美容室を8年間続けています。 華やかな成功エピソードより、開業当初の「誰も来ない期間」や、日々の試行錯誤のリアルを大切にしています。 Threadsでは、1人美容室のこと・独立のリアル・家族との時間について発信中です。
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