初めてのお客さんとの出会い
前回、7坪の物件をなんとか形にして、開業日を迎えたところまで書いた。
今回は、そこから実際にお客さんを迎えるまでの話を書こうと思う。
オープンを目前に控えた数日。
看板を出して、扉を開けて、椅子を整えて。準備はできているはずなのに、店内で一人、妙にそわそわしてました。
会社員時代は、お店に行けば予約が入っていて、当たり前のようにお客さんが来てくれた。でも独立した今は違う。
誰も保証してくれない。本当に人が来てくれるのかどうか、まったくわからなかった。
チラシは配った。でも、それを見て来てくれる人がいるかどうかは未知数だった。
電話が鳴らないまま、時間だけが過ぎていく。椅子を拭いたり、鏡を磨いたり、意味もなく店内をうろうろしていた。
正直、不安の方が大きかった。
もしこのまま誰も来なかったらどうしよう。
融資を受けて、身内にも助けてもらって、ここまで形にしてきたのに、もし失敗したら。
そんな事を何度も思いました。
そんな中、オープン前に電話が鳴った。
一瞬、何の電話かもわからなかった。
それくらい、自分のお店に予約の電話がかかってくるということが、まだ現実感を持てていなかったんだと思います。
受話器を取って、名前と用件を聞いた瞬間、頭の中がパニックになった。
「予約したいんですけど」。それだけの言葉が
嬉しくてしょうがなかった。
それから、オープンまでの間にも何件か予約の電話が続けて入った。
一件一件、電話を切るたびに胸をなでおろしていたのを、今でも忘れられないです。
おかげでオープン当日は、なんとか満席でスタートすることができた。
会社員時代とは違う、自分の力だけで埋まった予約表を見て、これまでの不安が少しだけ報われたような気がした。
ただ、そこから先は決して順調ではなかった。オープン初日が満席だったからといって、その後もずっとお客さんが来続けたわけではない。
来る日もあれば、まったく予約が入らない日もある。
そのムラに、正直かなり振り回された。
「今日は忙しい」「今日は誰も来ない」を繰り返しながら、それでも一人ひとりのお客さんに丁寧に向き合うことだけは続けていった。
振り返れば、あの何本かの電話がなければ、今の自分はなかったかもしれない。派手な出来事ではないけれど、独立した人生の中で、一番忘れられない瞬間の一つです。
満席で迎えたオープン日から、この店は少しずつ歩み始めた。次は、来る日も来ない日もある中で、集客に試行錯誤していった頃の話を書こうと思います。
